私は公立中学の出身です。中学時代の担任は、「偏差値の高い学校に行きたいなら塾へ行け。塾では効率良く受験テクニックを教えてくれるから、すぐに偏差値が上がる」と言っていました。当時は、「公立の先生がこんなことを言うなんて!」とショックを受けたものです。あれから○○年。公立中学で塾講師による受験対策を目的とした有料授業が始まりました。
東京都杉並区立和田中では、1月26日から「夜スペシャル」という通常授業時間外に行う有料授業を始めました。先生は大手進学塾SAPIXの講師。この夜スペを受講できるのは、成績上位の生徒だけ。つまり、夜スペは成績の良い生徒の学力を伸ばすことが目的なのです。
日本経済新聞(1月26日付、夕刊)によると、公立学校と学習塾の連係は各地に広がっているものの、成績上位者対象の「夜スペシャル」と異なり、補習が大半。また、ほとんどが授業料なし、一部の学校で月500〜2,000円だそう。「夜スペシャル」は月18,000〜24,000円。SAPIXの通常の授業料の半額程度だそうですが、他の事例と比べると高額です。
「夜スペシャル」は東京都教育委員会から「待った」がかかったように、経済的な負担や成績で生徒を選別することから「義務教育の機会均等に反する」とも言えます。また、公立学校の予備校化に拍車がかかる可能性も否めません。
一方、公立中学には様々な学力の生徒がいます。そんな中、授業を理解できない生徒へのフォローはあっても、授業を理解できる生徒へのフォローはありませんでした。昨年12月24日付の毎日新聞(朝刊)の和田中・藤原校長へのインタビュー記事によると、成績が中上位の生徒は、勉強の面白さがわかってないために自分で成績を伸ばすことができない、けれども成績が良いために教師の視界から外れてしまい、結局上から「吹きこぼれ」てしまうのだそうです。「夜スペシャル」はこの「吹きこぼれ」の生徒へのフォローが目的なのです。様々な学力の生徒が集まる公立中学だからこそ、様々な学力に応じたフォローが必要になるのかもしれません。
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