先週、「大阪府知事選の動向に興味津々」と題した記事に登場した弁護士、橋下徹氏(38歳)が、大阪府知事に選ばれました。
記事の中で、“子育て世代には好感触かも…と”と述べましたが、予感的中!? 朝日新聞社の投票者対象の出口調査(4,513人有効回答)によると、女性・30代の6割が支持を集めたことが明らかになっています。
 ただし、その支持の理由が、氏のマニフェストの重点「子育て支援」にあるというはっきりした言及は新聞記事中にはなく、
 投票の際に重視したのは「候補者個人の魅力」が39%と最も多く、「主張する政策」で選んだ36%を上回った。(1月28日/朝日新聞大阪版)
と記されています。また当選翌日28日の同紙には、「露出計算 政党は裏方」と題した下の記事も。
 


橋下氏の選挙を中枢で支えたのはタイタン(芸能プロダクション)だ。漫才コンビ「爆笑問題」が所属し、橋下氏が業務委託契約を結んでいる。(略)橋下氏が提唱する「小学校校庭の芝生化」にスポットをあてるため、小学校で橋下氏と子どもたちを鬼ごっこさせるなど「絵」になる場面も演出し続けた。その一方で、タレントからの応援は一切断った。陣営幹部は「好き放題言っていたタレント時代と違う。当時の橋下を思い起こさせるタレントの応援弁士は逆効果と考えた」と打ち明ける。(略)
 こうした中、橋下氏が政策を訴える場面は少なくなった。
 選挙戦中盤、自民、公明両党のベテラン府議が「もっと政策を語るべきだ」とアドバイスすると、橋下氏は「政策は発表しています。浸透させるのは皆さんの役割。私の役割は街頭で無党派をつかむことです」
 最初に打ち出した子育て支援中心のユニークな政策についての言及が、選挙戦後半〜当選後に薄れたのは、新聞報道においても同じ。部分的で、どちらかというと皮肉な取り上げ方をされています。
「TVで熱弁3時間」
 ──橋下氏が目玉政策に揚げた「子育て支援策」についても質問が相次いだ。日本テレビ系列の「スッキリ!!」で「47都道府県の中で、大阪府が圧倒的な子育て支援をしていく。不妊治療や乳幼児医療助成の拡充、給食の導入など積極的にやっていきたい」と、身ぶり手ぶりを交えながら熱心に説明した。
 公約の一つ、「小学校運動場の芝生化」にも言及。NHKニュースで「多額の維持費がかかるのでは」と問われると、やや不快そうな表情を浮かべ「それは現場を見ない人による議論だ。保護者達が芝生化を求めるのであれば、助成していこうということ」と答え、「子育て世代を大阪に呼び込む。それが大阪の活力になる」と自信に満ちた表情で話した。(28日/朝日新聞)
「予算・人事…職員不安」
 ──「小学校の運動場の芝生化」「中学校への給食導入」──。府は既に橋下さんが揚げる重点事業と現行制度の調整や実現可能性の検討に着手しているが、市町村主体の事業が多い。子育て支援の担当部は「市町村がついてこないとできない」と及び腰だ。(28日/朝日新聞)
それぞれ別のページですが、どちらかというとマイナスの声=氏のマニフェストの実現性に疑問を持つ声が少なくないと感じ取れます。
それもそのはず、5兆円という巨額の借金で財政破綻寸前と言われる大阪府。しかしそれは承知の上で「子どもが笑う」というキャッチフレーズで立候補し、「個人の魅力」で当選したと評される橋下氏。
そのエネルギーと爆発力で、子育てに魅力的な街づくりをどこまで実現できるか。今後の展開にも興味津々です。