「働く場所に子どもたちを預けるところがあれば!」
そんな夢を叶えつつあるアメリカの試みをご紹介します。
●その運営は委託会社ブライトホライズン
バージニア州ロアノーク(1585年イギリスが始めてピリグラムを送ってきた島で有名)、スー・アセンブリーナは娘のシェリン(10ヶ月)と朝6時半にファーストユニオン銀行の保育所へやってくる。実は彼女は「ブライトホライズン」というオンサイト保育所の委託運営会社のマネジャーである。働く場所に保育所があるということが、彼女がこの会社で働くことを決断させたという。朝6時半から夕方5時まで、働きながら娘の顔もみられるという、授乳期の母親には恵まれた環境だ。働くところに保育所があるということは、実際に多くの働くお母さんのストレスを和らげる。出産や育児だけでも大仕事、働く女性にとっては大きな関所になる。これをうまく乗り越えられるか否かで人生設計が変ってくる。
このブライトホライズンが手がける企業内保育所は全米に200以上ある。前出のジョンソン&ジョンソンもそうだし、ケンタッキーにあるトヨタ自動車工場もそのひとつである。ヒュ−レートパッカード、ユニバーサルスタジオ、デゥポン、ソニーピクチャーズ、モトローラ、PGAツアー、AT&T, IBM、アップルコンピューターなど優良企業が名を連ねる。どれもワーキングマザー誌の働く母親にやさしい会社100に名が載る会社でもある。ちなみに、働く母親にやさしい会社世界のベスト100に日本の会社の名前はひとつも見当たらない。
ブライトホライズン/委託会社
またシリコンバレーでも、オンサイトの保育所は、中小企業にいたるまで約50ほどある。ワインで有名なナパバレーのワイナリーや、スタンフォード大学、HPとIBMなど数社がスポンサーになっているもの、サンフランシスコ空港とユナイティド航空、ロッキード社とサンノゼマーキュリーニュース、シリコングラフィックスがスポンサーなものなど、オンサイトまたはニアサイトの保育所が多数ある。
その保育内容については、ほとんどの利用者が「just wonderful !」と賞賛を惜しまない。食事は朝昼、おやつにいたるまで栄養面が計算されているし、学習面でも優れたプログラムを取り入れている。
ただ、親の願いは世界中同じで、子どもにもっといいもの、よりよい環境をと模索し続ける親もいる。J&Jのジョン・マッキ−ガンは、「今はハッピーだけれど、でもアンテナはいつも 張ってある。またずっと子どもをここにおいておくかはわからない」と言う。確かに恵まれた(学校の選択が多い)地域に住めばそういう選択も出来うる。何よりも今は、子どもと会話を楽しみながら通勤して来られること、何かあればすぐ目が届く距離ということが、働く親にとっては安心感だそうだ。でも、頻繁にはお昼を食べに行くことはしないと言う。子どもがお父さんと言って離れないのが困るのだそうである。と言いながらも音楽と、外遊びと、理科の時間にヘルパーとして時間があればクラスに出向く。そして6時に息子と帰宅するという日課だ。(取材・文/つちやみちこ)
★次回に続く★