「オニババ化する女たち」
–数年前に出版されて評判になった本ですが、なんといってもタイトルが強烈です。
オニババといえば、日本の昔話によく登場します。この本では、あれは、社会の中で適切な役割を与えられなかった独身の更年期女性が、山にこもるしかなくなり、オニババになり、エネルギーの行き場を求めて道に迷った小僧さんを襲うなどしたのだろう、と解釈しています。
女性は、性と生殖に関わるエネルギーを備えているので、その力を使わずにいると、多くのエネルギーが行き場を失ってしまう。女性の持つエネルギーを過小評価していはならない–と、著者・三砂(みさご)ちづる氏は警鐘を鳴らしています。
簡単にいうと、近年、子どもを産まないという選択をする女性が増え、また世間的にも「結婚しない生き方だってある」といった風潮があります。
それに対して、「女に生まれたからには、やっぱり結婚して子どもを産みましょうよ、それが幸せってものですよ」ということが、リプロダクティブヘルス(女性の保健)の専門家の視点で書かれています。


本の中では繰り返し、自分の身体を愛おしむこと、そして身体の声を聞くことの重要性が語られています。
世間一般では、出産は痛くてつらいもの(だけど赤ちゃんを産むためにはがまんしなければ)と、とらえられています。
そのために出産することを躊躇する女性も多いでしょうが、本来は出産は怖いものではありません。助産所で行われている自然出産は、宇宙との一体感を感じるような、満たされた素晴らしい体験であるといいます。
戦前、今の90歳代以上の人たちは、今と比べれば、医療も発達していないし薬も十分にない中で自宅で出産しているわけですが、その分、女性本来のエネルギーを感じ取り、使うのがうまかったのでしょう。昔は高機能な生理用ナプキンもなかったので、生理のときは、意識してトイレに月経血を出していた(今のように垂れ流しではない)とか。身体の使い方・鍛えられ方が現代女性とはずいぶん違うんですね!
女性の身体は潜在的なパワーをたくさん秘めていて、月経・出産・子育てを通してその本領を発揮するのだそう。子どもを産むかどうするか迷っている女性が読めば、ぜひ自然出産してみたいという気にさせられる一冊です。
にしても個人的には、できれば子どもを産みたいと思っている女性は結構多いような気がして、でも、厚生労働相が「女性は産む機械」なんて発言しているような社会だから、少子化になっちゃうんだろうなあ、と思います(^^;)
なお先日、三砂(みさご)ちづる氏の講演会が行われましたので、後ほど講演内容をご紹介します!