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 ネットスーパーの便利さは、1度味わうとやめられない。
忙しくて買出しの時間のとれない日、具合が悪くて出かけられない日、週末レジャーで夕方遅くまで遊び疲れた日、ネットスーパーの存在に何度救われたかわからない。
 今まで生協や有機野菜のグループなど、様々な宅配サービスを利用してきたが、ネットスーパーはそれらと似ているようで、実際は全く異なるサービスだということに、最近気づかされた。


たとえば生協は、1週間位前にカタログを見て商品を発注する。
取扱い商品には生協オリジナルが多く、それが信頼感にもつながっているのだが、見方によって
は、生協ブランドへの信頼感を強制しているようにも感じられる。
生協というシステムのレールにしっかりと乗らなければ、窮屈さを感じることも多いだろう。
一方、ネットスーパーは普段購入している商品を買えることが魅力。
マヨネーズ1つとってもさまざまなメーカーの商品を取り揃え、食料品はもちろん、日曜雑貨や下着などの衣料品まで扱っているところもある。大手スーパーのネット店なら、価格もチラシ価格に準拠しているので、特売商品を購入することもできる。
そして最大の魅力がスピード。近くの実店舗から最短5時間で届く。朝、お出かけ前に発注しておけば、夕方帰ってきた頃に手に入るのだ。まるで、家の前に大型スーパーがあるような感覚である。
 当然ネットスーパーの利用者はうなぎのぼりに増えている。セブン&アイ・ホールディングスのイトーヨーカ堂ネットスーパーでは、今年2月の平均日販(1店舗当たりの売上金額)は前月比15%増(2008年2月27日付 産経ニュースより)というから、驚きである。
超高齢化社会、ガソリン高、共働き夫婦の増加など、今の世の中はネットスーパーに追い風の要素ばかりに感じられる。コンビニが私たちの生活を大きく変えた
ように、ネットスーパーももしかしたら、私たちの生活のあり方を変えていくかもしれない… そんな予感さえしてしまうくらいだ。
 とはいえ、ネットスーパーもそれを使う側もまだまだ発展途上と感じられることも多い。
たとえば「玄関開けたらスーパー」はネットスーパーの売り物であるが、過度な期待は禁物だ。昨年交通機関にも影響が出るような激しい風雨の日、ネットスーパーの一部の店舗では、注文が殺到して取扱い中止となってしまっていた。
交通渋滞のため、配達予定の時間を過ぎても届かなかったことや、注文した特売商品が品切れになってしまっていて、別の商品で補填してもいいかとお店から聞かれたこともある。
台風の日の宅配ピザが混むように、こうなることは予想できたかもしれない。でも、その日の買い物をあてにしていた人は、すぐさま「今夜の食事はどうしよう!?」ということになってしまったはずだ。
1食くらいなら、がまんもできるかもしれない。しかし、今日必要なのが紙オムツだったら?
もちろん、消費者の側もそういう事態を予測した買い方をこれから学んでいくことになるだろう。しかし、ネットスーパーへの期待値の高さが、逆に次の発展への大きなネックとなるかもしれない。(文/林なお)