昨年は、連日のように、振り込め詐欺のニュースがテレビや新聞等で取り上げられていたが、今年に入っても、よく耳にする。
furikomesagi.jpg金融機関の協力や、警察が寸劇を取り入れた啓発講座を開いたり、年金支給日には、ATMの前で手続きをする高齢者に声をかけるなど被害に遭わないように注意を呼びかけている。
しかし、こうした警戒体制や注意の情報が流れていても、振り込め詐欺の被害は一向になくならない。
昨年の6月21日から「振り込め詐欺救済法」も施行されているが、振り込んだお金が、すぐに引き出されてしまった場合には、取り戻すのは非常に難しいのが現状のようだ。
何故、騙されてしまうのだろうかと考えていた矢先、「消費者心理について学ぼう」という講演会があると聞き、早速、行ってみた。


その中で、「消費者はなぜ騙されるのか」というテーマで、現場に携わる消費生活相談員の方からのお話しがあった。
騙される理由として考えられるのは、「日本人の資質が多少は関係しているのではないか、はっきりと断るのが悪い、断ると相手を傷つけるのではないか、騙されても自分を責めてしまう。騙されたことを認めたくない」などとのこと。
確かに、高齢者の中には、何故断らなかったのかと聞くと「親切にしてもらったので断るのが悪い」「騙された自分が悪い」などと言われる事が少なくはない。
また、立命館大学各国際平和ミュージアム・名誉館長 安斎育郎氏による「人はなぜ騙されるのか」についても、興味深いお話を聞く事ができた。
なぜ騙されるのか。
安斎氏曰く、人には「思い込み」や「欲得」があるからだ。
昔、流行った超能力によるスプーン曲げを例にあげ、
「人は、今までに経験していない事が目の前で起こった時に、それを超能力だと思い込んでしまいがちだが、スプーン曲げなどは、てこの原理を応用して練習すれば誰にでもできるのだ。」
そう言われると、手品師のようにあざやかな手さばきで実際に、スプーン曲げを何回かやって見せてくれた。
スピリチュアルや血液型による性格判断などが流行るのも、人に「思い込み」や「欲得」があるから。
また、3枚のカードを使った手品を見せながら、「人は騙されやすい」とも話しをされていた。
何だかマジックショーを見ているようで、こちらとしては、楽しく騙された様な気がした。
騙されて終わりかと思ったら、最後には、振り込め詐欺など騙されないための注意もあったので、少し安心したような。
振り込め詐欺は次から次へと手口が変わり、しかも巧妙である。
相手の姿が見えないことから、「オレオレ詐欺」では、おかしいなと思いながらも、電話の声を、家族の声だと思い込んだり、「還付金詐欺」などでは、少しだけ「欲得」が出てしまうことがあるかもしれない。
いずれにしても、手品を見て騙されたと笑って済むぐらいならいいが、現実にはそうはいかないのでしっかりと気を引き締めていかねばと思っている次第である。