「よのなか科」という授業を、ご存知ですか?それは、杉並区立和田中学校の藤原和博校長が提唱している「学校で教えられる知識と実際の世の中との架け橋になる授業」のこと。全国の中学でも、この「よのなか科」を実施を試みる動きが少しづつ広まっているようです。
うちの子どもが通う横浜市の公立中学でも、キャリア教育の一環として「よのなか科」の授業が定期的に実施されています。「地域の様々な大人を招きディベートすることで、豊かな世界観を養うことが目的」とのことで、早速授業に参加してきました!
公立中学校離れが進んでいる昨今ですが、私が実際に体験した中で、ユニークな取り組みを今後もご紹介していければと思います。
この日のテーマは、「中学生と携帯電話」。講師は、千葉大学教育学部准教授藤川大佑氏。実際のプロフィールサイトにその場で携帯から書き込みをしたりと、臨場感のある講義内容。
父兄ばかりではなく、事前に町内会の回覧板などで地域の人たちにも参加を呼びかけていましたが、平日開催だったので、男性の地域の参加者は残念ながら少ない印象。ただし、キャリア教育に関連した企業の方や教育関係者の方が、たくさん参加されていて、「よのなか科」に対する注目度の高さをうかがわせました。
私がディベートに参加したのは、中学3年生の7人ほどのグループ。突然参加した見知らぬ私に対しても、「声が聞こえますか?」と席を代わってくれたり、気を使ってくれている様子。「携帯電話を持ってないからピンとこなくて」という女子生徒もいて、私が想像していた今どきの中学生よりも、とても素朴な印象でした。ちなみに、アンケートの結果は、今日の授業に参加した中学3年生の約3分の1は、携帯電話を持っていないそう。(意外!)
「携帯メール、掲示板のルールを考える」という議題では、「A子がB子に携帯のメルアドを教えたところ、C子のやD子の名前で悪口のメールが届いた。C子は携帯を持っていないし、D子のメルアドも送られてきたものと実際には違っていた。この場合、誰が何をしたらよいか?」という複雑な設問が登場。
生徒からは、「A子みたいな情報を漏洩する友達とはそもそもつきあわないほうがいい」「指定アドレス以外は受けない設定にすればよい」などの意見が。話をまとめなくては、と思い「ねえ、みんな個人情報保護法って正確に知ってるかな?」などと思わず説教くさくなってしまう私。なかなか中学生とディベートするのは難しい。今1つ盛り上がりにかけるディベートだったが、(自分の子は別として)ふだんはあまり話すことのない中学生といろいろと会話ができて、とっても楽しくリフレッシュされたというのが本音。
現在、中学校では携帯電話の持込は禁止ですが、頭から携帯電話を禁止すること自体、もはや難しいのが現実。「携帯電話の危険性を理解し安全な使い方ができるようになるための知識」が、特に親世代に対して必要なのではと強く思いました。
とにかく、学校を中心とした地域の復権が叫ばれる今、「よのなか科」は、とてもよい試みだと実感!
「こんなことを子供たちに伝えたい」「こんな授業を子供たちに受けさせたい」と思ってらっしゃる方は、「住民参加型」の授業が徐々に増えつつある中、これから様々なチャンスがありそうです。(^^)
(レポート:常山あかね)