「パパ権」。この聞き慣れない言葉を提唱する興味深い本、『「パパ権」宣言!』を読みました。「パパ権」=「男性が子育てと家庭生活にたずさわり、その苦労と喜びを享受する権利」だそう。実際に子育てを実践する3人のパパたちが、【男性の子育て参画を阻む社会に対して、いまこそ「子育て権」を宣言しよう】というものです。
この本が面白いのは、3人の著者の方々自らが、それぞれ独自のスタイルで子育てを実践してき方々ばかりで、机上の空論ではないところ。
奥さんがフルタイムの会社員で、自身が自宅で文筆業と育児を行う川端氏、広告デザイン会社を経営する傍ら小学校のPTA活動を精力的に行い、オヤジたちを地域に呼び戻すことことで学校と地域の融合を提唱・実践する岸氏、大学教授として教育学を研究しながら、自ら子育てに携わってきた汐見氏。
それぞれの視点で、パパが子育てをすることの楽しさ、苦労が描かれています。
私がいちばん共感を覚えたのは、3人のパパたちの対談の中での川端氏の発言です。
奥さんがテレビ局というかなり強度の労働を強いるタイプの仕事場で活躍しているということで、
自ら自宅でできる文筆業という道を選んだという川端さん。
「夫婦がいわばひっくり返っただけなので、僕の個人的な気持ちとしてはパパ権ではなくて「ママ権を保障せよ」なのです」「僕の場合は単にひっくり返ったことをやっているわけで、構造的には歪みを解消したわけでも何でもない」。この発言の中に、真実があると思いました。
つまり、パパ・ママのどちらかかが過剰な労働を強いられるという構造が変わらない限り問題は解決せず、総仕事量が減らない限り、在宅ワークの活用など、従来からの仕事のスタイルを変える方向にシフトしていかないと、明るい未来は描けないということになります。
ワークライフバランスの大切さが叫ばれる現在、あと10年もたてば、「パパ権」っていう言葉が昔流行ったよね!という具合に、笑い話になる社会がくればよいと思います。
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