「お下がり」。上に姉がいなかった私ですが、従姉妹たちにはよくお世話になったものです。しかし、当時喜んでいたのは母だけ。私は正直、「いやだなあ」と思って、あまり着たくありませんでした。なんとなく、よその家の匂いがついている気がするし、自分の好みとはほど遠いデザイン。タグには従姉妹の名前がマジックで書かれているし。
さて、自分が女の子の母となり、「さあ、好きな服を着せられるわ!」と、思ったのですが、現実はなかなかそうはいかず…ブランド服といっても半年も着られない。なのに、この値段!?
そして、祖父母から届く、祖父母好みの服。それはそれで可愛いのですが、ジジババドリーム満開の花柄りぼんフリル。ベビーバギーも届きました。うーん。クマちゃんがいっぱい!
でも親の私が使いたいシックなものは高価! お金もお下がりのあてもない若い子育て夫婦にとって、1990年代の子どもグッズ消費期は、少々欲求不満を抱えたまま過ぎていったのでした。
ところで、イマドキのお母さんたちはブランドこだわり×ネット活用世代。
「お下がり」は「オークション」に進化、活況を呈しているようです。
私も、娘が小学生ぐらいまでは、時々のぞいていました。
驚いたのが、人気ブランドの高値更新ぶり! お下がりのトレーナーが5,000円台とかワンピースを 10,000円近くまで競り合ったり、落札者の熱意のすごさといったら。人気のブランドならば、落札数も増える。あまりに単純でわかりやすい売れ方なのです。
以下、だいぶ前の記事になりますが、2008年5月19日付けの日経新聞(夕刊)から一部抜粋です。
国内最大のオークションサイトを運営するヤフーによると、4月のオークション平均出品数は5年前の約4.5倍、約1,600万件に増加。中でもベビー・子ども服の携帯電話からの出品は、2年前のなんと約7.5倍に。衣料品全体の5倍を大きく上回る。「子育て中の母親らが活用している」(ヤフー)
また、出品を予定しつつ子ども用品を使用するため、外箱は捨てずに保管、持たせる時も記名しない(ある市では、保育所の水筒に職員が勝手に記名するとオークション出品予定の親御さんとのトラブルの原因となると注意されている)、さらに出品予定品で部屋が倉庫のようになってしまった、という例も。
こうなると、もはや子どものために賢くお得にというより、オークション自体が目的になってしまっているのは明らか…ですが、それもまた、子育て中のお母さんたちの楽しみなのでしょう。お金に余裕のある大人の女性が、「最新ブランドはワンシーズン着て即リサイクルショップに出せば結構な値段で売れるわ。クローゼットはいつも流行モノばかりだし、快適よ」という消費行動と、前半が似ていますね。後半については、上に述べたとおり(笑)。
それにしても、子どもが着用し使うものに後まで気を遣っての出品、欲求不満時代に戻れたとて、私にはできそうもありません。「お下がり」感覚で、使いまわすほうが気楽です。ところが、その「お下がり」のチャンスに恵まれることも少ない都市化・少子化のご時世、だからオークションを利用するのがベター、となるのでしょう。