トリアージ・・・という言葉、最近耳にした事がある方も多いと思います。非常事態で怪我人が多数発生した時など、受け入れる側にも限界があるためその怪我の程度に応じて順位を付ける・・・というものですが、もともとはフランス語で「選別」という意味なのだとか。患者さんを「選別」するからこう呼ばれるのですね。
今回のテーマは「暮らしとマネー」。私が最近思っているのは、皆さんの口座にある「お金」も、トリアージが大切なのではないか・・・という事です。限られた収入を、緊急資金、余裕資金などにきちんと「選別」するのです。
よく資産管理で言われているのは、「投資は余裕資金で行うこと」や、「目的の決まっているお金は低リスクの商品で運用する」という意見ではないかと思います。そして、光熱費の引き落としや子供の給食費など、毎月払うお金はすぐに引き出せる普通預金に入れている方が多いのではないでしょうか。これらのお金は、トリアージ風に選別すると以下のようになります。
(1) 緊急度・高(一年以内に使う)
毎月払うお金・急な出費など
→すぐ引き出せるように普通預金
(2) 緊急度・中(5〜10年以内に使う)
子供の教育費・車の購入代金・家の頭金など
→元本割れしない定期預金
(3) 緊急度・低(10〜20年以内に使う?)
余裕資金・とりあえず使わないお金
→リスク商品
すぐに必要なのか、まだ時間があるかで3段階に分類できました。
(1)は、必要なときにすぐ引き出せるようにしておく必要のあるお金です。定期預金では満期より前なら解約手数料がかかってしまいますし、金融商品によっては解約代金がすぐに振り込まれないものもあります。すぐ必要なお金はすぐに引き出せないと困ります。
(2)は、ちょっとやそっとじゃ解約できない商品に預けておくのがポイント。絶対に貯めておきたいのについつい使い込んでしまう・・・などという事にならないために、わざと解約の手続きが面倒で、満期まではなるべく触れない商品にしておくのです。ただし、元本割れしないもの。利率がいいからといって元本を保証しない投資信託に預けてしまい、いざ解約の時に大きく評価額が下がっていたら引き出すに引き出せない・・・という事にもなりかねません。
将来の物価上昇に備えて、ある程度の投資も必要だ・・・などと巷では言われてきましたが、昨今の金融不安を見ていてもわかるように、やはり投資にはリスクが伴います。投資にまわしても良いのは3番目のとりあえず使わないお金、これだけです。最悪無くなってもかまわない・・・という覚悟で、失って惜しくない程度の金額を運用するのです。全力で投資につぎ込んでしまうのはもってのほか。投資に回すお金が大きければそれだけ見返りも大きいかもしれませんが、失敗した時にはすべてを失ってしまうのです。
我が家にはとりあえず使わないお金なんて無い・・・という場合には、それでもいいのです。目的別にしっかり選別することによって、貯めるべきお金が貯まっていない・・・という問題点が見えてきたらその対策を考えればいい。お金のトリアージは、限られた収入の中で効率よくお金を回し、いざという時慌てないための作業。一度やったからいいというものではなく、定期的に何度でも繰り返し、家計の見直しをする事が大切です。