こんにゃくゼリーについてのニュースが目白押しですが、メーカーに対する非難だけでなく、消費者側を責める意見もあるようです。それぞれ一理あると思いますが、これだけ食の安全が脅かされているのであれば、消費者の自己防衛は必須です。
考えてみれば、かつて今ほどに食品表示は充実していなかったように思います。添加物や農薬の使用も、今より規制は緩やかでした。ここ数年来食品会社の不祥事が次々と起こっていますが、最近になって表面化しただけであり、不祥事はずっと以前から行われていました。


広い視野で見れば、食を取り巻く環境はここ数年で急激に悪化したわけではありません。それにもかかわらず消費者が不安の声を上げるようになったのは、消費者の安全に対する意識が高まったからだと思います。それは喜ばしいことです。
一方、消費期限だけを見て食品を捨ててしまったり、風評に引きずられて安全でおいしいと思い込んだりする人が増えているように思います。消費期限を過ぎても問題なく食べられる可能性は高いですし、消費期限以内でも保存状態によっては食べられない場合もあります。
その判断は、味や香り、見た目など、官能による判断しかありません。おいしいかおいしくないかも、個々人の味覚によって判断すべきことです。情報が少なかった時代は皆、そうして安全な食べ物を見分けていました。
食の危険を察知する力、食の見極めをする力は、若い世代ほど劣っているように思います。五感を研ぎ澄ませば、添加物が入っているとか、着色料が使われているとか、まがいもののおいしさだとか、いつもとちょっと違うとか、そのようなことは自分で判断できるようになります。
食品表示の見方を覚えるだけでなく、五感を磨く、生活力をつけるなどの訓練も必要だと思います。
「何かおかしいよね」
「何かいつもと違う気がするな…」
そう感じる力を身につけることが、最大の自衛策になるのではないでしょうか。