新聞や雑誌で話題沸騰の「パパ力検定」。
その仕掛け人であり、NPO法人ファザーリング・ジャパンの代表、安藤哲也さんによるこの子育て論では、「仕事」と「子育て」の両方を、いかに笑って楽しむかが、3人のお子さんを持つ安藤さんご自身の豊かな体験を柱に、心地よくもパワフルな文体で語られています。
『パパの極意』なんだから、ママには関係ないでしょう? なんて言わずに、ぜひ一度、手にとって覗いてほしい。
「ママ」を楽しむコツやヒントに、きっと出逢えると思うから。
この本のその最大の魅力は、なんと言っても、読んでいると子育てがどうしようもなく贅沢で楽しいものだと感じられるということ。
そして、そんな微笑ましい気分に浸りながらも、家で、職場で、地域社会で、自分らしく楽しく生きるためのちょっとしたコツやノウハウが、安藤さんの言葉に乗って、ズンズンと心に響いてくるんです。


例えば、「周りを味方につけよう」では、「生活と仕事をうまく回していくには、会社の同僚など周囲に理解してもらうことも大切だ。周りを味方につける努力は常にしていなければならない」とあり、安藤さんが転勤して最初に行う「あること」が紹介されています。
その「あること」とは、「自分のデスクに子供の写真を飾る」こと。
そうすることで、新天地のスタッフとのコミュニケーションにも繋がり、「『この人は子供を大事にしている人なんだ』というイメージがあっという間に浸透する」のだそう。
うーん、確かに。
これって一見普通の発想なんだけど、でも、実際自分ができるかと言われると、「えー、そんなことできませんよ!」と咄嗟に思ってしまう。
でも、それって、どうしてだろう?
多くの働く女性は、「あいつは子持ちだから使えない」とは思われたくない。そう思われやすい環境にいればいるほど、子供の存在を相手に意識させないようにと、無意識のうちにも気を使うし、そのためにエネルギーを使い果たして疲れちゃっている人も、案外多いのではないかと思う。
でも、それって正直シンドイ。
だって、実際子供はいるんだもん。しかも、怪獣並の存在感で……。
結局、そういう不自然なあり方を、私達は、知らず知らずのうちに選択してしまっているんですよねぇ。
でも、もし安藤さんのように堂々と胸を張って子供の写真を飾れれば、違う自分があり、違う未来が開けてくるのかもしれないのだ。失うものがあって初めて、得るものがあるはずなんだから……。
安藤さんは言う。
――生きていれば、楽しいことも、悲しいこともある。特に子育てしている時期には辛いことも多いだろう。でも逃げずに、それをドンと受け止め、家族を守りながら、前のめりに、心地よく生きていく。一つ一つの出会いや営みを慈しみ、笑ったり泣いたりしながら苦難を乗り越え、道を切り拓いていく。
父親はそんな「生きている姿」を、子たちに見せなくてはいけないと思うのだ。
これって父親だけじゃない。
多くの母親だって、一生懸命自分を生きて、泣いたり笑ったりするところを子供たちに見せながら、子供たちと共有しながら、子供を育て、自らも一緒に育っていきたい、そう願っているはず。
そういう意味では、男性も女性も思いは一つ。
女性としてうれしいのは、こういうことを男性にはっきり言ってもらえると、なんだか背中が押される気がして勇気がもらえるし、こういう男性が着実に増えつつあるのだと、未来に明るい気持ちが持てることかもしれない。
人生、理想通りにいかないことはある。
っていうか、ほとんどそればっかり。
それでも、自分たちが幸せでありたいと願うなら、自分自身に訪れた変化と、そのお蔭で存在している「今」をポジティブに受け止めて、日々の喜びをクリエイトする努力を怠らない姿勢が大切なのだ。そここそに、親としての人間力が問われているのだと、この本は教えてくれました。
さあ、パパもママも、「仕事も、子育ても、人生も、笑って楽しめる親」を、堂々と胸を張って目指そうじゃありませんか!
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