歌手の倖田來未さん(25歳)が、ラジオ番組で「35歳になると、お母さんの羊水が腐ってくる」などと発言し、問題となってから約1ヵ月。あちらこちらで物議を呼び、宣伝や活動自粛という大きな波紋を呼びました。
私は、TVニュースで彼女の謝罪会見(録画撮りしたもの)を見ました。詫びたい心情は伝わってきたけれど、どうも違和感を感じました。
「傷つけた人に対してお詫びしたい」「言葉遣いがよくなかった」「周囲のスタッフや友人から励まされた」などと、彼女なりに言葉を尽くして詫びているのですが、それは、この発言だけに対する釈明に過ぎない。アーティストとして公の場に立ち、愛について歌うならば、もっと大きな視点で社会全体に対して自分の発言の重みを表現してほしいな…と。
具体的には、正しい理解がないと反省するなら、ちゃんと勉強し、それによって得た正しい知識を謝罪の中で述べてこそ、意義のある会見になったのではないでしょうか。弱冠25歳の未婚の女性にそれを求めるのは厳しすぎ? 私はそうは思いません。彼女は「ただの女の子」ではない自分を日本中にアピールしてきたはず。そして支持を得て、今の地位を築き上げることができたのです。発言の過ちは、妊娠出産に関わる人だけではなく、子を産み育てる社会全体に関わることに気づいた上で「お詫び」して欲しかったです。
さて、この発言に関して、2月27日付朝日新聞朝刊「私の視点」で、東京大準教授の松田良一先生が、意見を述べられています。


「この(倖田來未さんの)発言は全くの間違いである。羊水は胎児側が分泌するもので、母体の年齢には関係ない。(略)母体の年齢にかかわらず子宮内では腐敗しない」
とした上で、さらに「羊水に関する勘違いは彼女だけの問題だろうか。日本の若者は学校でどれだけ教えられているだろうか」と、疑問を投げかけていらっしゃいます。さらに、日本の学校教育における、妊娠・出産の仕組みについての学習指導は、著しく軽視されていることを指摘、現在の日本の教育は、本人と家族の健康について、正確な知識と考え方を伝える場として有効に機能してはいない。と、述べておられます。
倖田來未さんの発言も、彼女自身の認識の曖昧さ、言葉選びの軽率さで終わらせず、次世代を育てる私たち自身に照らし、考えなければならないのではないでしょうか。
かく言う私も、妊娠・出産を経験していますが、羊水についてはほとんど何も知りませんでしたし、妊娠について親世代から伝わる俗信に引っ張られたときもあります。学校では、授業を受けたのはほんの1時間足らずだったかどうか…正確に思い出せません。
が、しかし、これから妊娠・出産・子育てを迎える世代の方々には、ぜひ科学的で正しい知識を得るチャンスを与えるべきだと思います。個人的には、成人式などの機会に「親予備軍のための科学的検定」(?)など、いかがでしょう。
 最後に倖田さん…もし、この記事をお読みになったら、一連の騒動をプラスに転じるチャンスだと思いますよ。こちらの方面でもご活躍なさっては? キャラ的にはパワーあふれる素敵な女性なのですから!